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<仙台> 荷物の整理をしながら、私たち夫婦は今夜の宿をどこにしようかと話し合った。寮の空き部屋を借りることも出来たが、せっかくだからと景勝地の松島まで足を伸ばすことにした。ぶらり旅の虫が眼を醒ましたようだった。長男はまだ部屋の整理があるからと寮に残った。 松島までは仙台市内から1時間ほどの距離だった。荷物をおろして軽くなったミニバンは、夕闇せまる45号線を快調に疾走した。瑞厳時近くの観光案内所に立ち寄ると民宿の案内を頼んだ。幸い松島の観光船乗り場に近い宿がすぐに見つかった。八帖程の和室に炬燵がポツンとあるだけの飾り気のない部屋だったが、私たちには充分だった。 長男への連絡を済ませると私たちは軽く入浴を済ませた。すっきりした気分で部屋に戻ると、すでに夕食の支度が用意されていた。炬燵の上で海産物の寄せ鍋がぐつぐつと心地良い音と香りを漂わせ、脇のテーブルには地元の名産の生カキが山と盛られて食欲を誘った。 私たちは、充分すぎるほどの海の幸を堪能すると、心地よいビールの酔いもあってか急に疲れを感じていた。食事の後片付けを待つのももどかしく、くずれるように床に入った。 |
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翌朝、カーテンの隙間から差し込むまぶしい陽光で目を醒ました。カーテンを大きく開くと、目の前に朝日を逆光にした松島の島陰がシルエットとなって連なっていた。快晴だった。 朝食までまだ時間があったので、私たちは宿の下駄をカラコロ鳴らせながら散歩に出た。すぐ前にある国道を横切ると大きな駐車場があり、その先に島めぐりの船着き場があった。岸壁に立つと足許で波の音が小さく鳴っていた。プンと鼻先を磯の香りが包んだ。少し寒かったが心地よい気分だった。 私は新婚のときの三保の潮風を思い出していた。懐かしくなりそっとKEIKOの手をにぎった。彼女はちょっといぶかる仕草をみせたが、そのまま手を繋いでいた。暖かい朝の陽光が二人をやさしく包んでいった。 |