<仙台>

 長男の大学入試が始まった。

 ここで彼は安全策を取った。京大を捨て100%大丈夫だといわれていた筑波と名古屋に目標を変更したのだった。私たちは、どこでも無事に受かってくれれば良いと思っていた。

 報告の電話を受けたのは私だった。結果は意外にもどちらも「桜散る」だった。

 結果をどう彼に伝えたら良いか私はとまどったが、ここは聞いた通りに伝えるしか無いと思った。
「先程連絡があったよ。桜散るだって・・・。」
 KEIKOも付け加える言葉が出なかった。
「ふ〜ん。そうかあ・・・」
 彼は以外にも冷静だった。
「ちょっと出掛けて来る・・・。」
 そう言うと、ふらりと自転車で何処かえ出掛けて行った。

 夕食に戻った彼は普段通りの態度だった。打ちのめされた気持をどこかで整理をしてきたのだろうが、なぐさめる言葉が見つからない私たちにはありがたかった。
「ふ〜ん、そうかあ・・・」
 食事をしながら結果を聞いた弟も、兄と同じような返事をしていた。そして何事もなかったように箸を運んでいた。

「浪人してもいいかな・・・?」
 少し間をおいて長男が言った。
「ああ、これまで順調に来過ぎていたんだ。神様がここらで少し休めと言ってるんだろうよ。」
 日頃無信心の私が、都合の良い時だけの神頼みのように応えた。
「そうよ、少し休みなさい。それがいいよ。」
 KEIKOがすかさずあいづちを打った。
「来年は京大1本で行く。一次も二次も・・・。決めた!」
 彼が、自分の気持を振っきるように少し大きな声で言った。

つづく

目次へ