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<旅> 沖縄への旅は突然だった。たまたま沖縄の人間国宝の陶芸家金城次郎氏のドキュメントを見ていたKEIKOが、いきなり言った。 左手に飾り気の無い作業場があり、4〜5人の職人さんがろくろに向かって作業中だった。右手には作品の展示場らしき建物があった。声をかけて良いものか迷っていると、ちょうど奥様らしき女性が現われたので、早速挨拶と作品の拝見をお願いしてみた。だが、結果はあっけないものだった。 せっかく来たからにはと登り窯を見せていただくことにした。薄暗い窯の脇を下って行くと、下の作業場で作品作りに励むご夫婦がいた。息子さんの金城敏男氏と奥様だった。同じ魚紋がモチーフでも、次郎氏の剛胆な線刻に比べてご夫婦の作品はやわらかい作風だった。 きさくにお話をしてくれたご夫婦に作品を欲しいというと、今はこれだけしか無いがといって魚紋の壷、杯と水指しを分けていただいた。KEIKOは泣き出さんばかりに感動していた。 窯から庭に戻ると、母屋の脇で上半身裸で水を浴びている老人がいた。金城次郎氏だった。せめて写真でもと思い声をかけたが、無言のまま奥に入ってしまった。 |
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金城氏の作品の入手をあきらめホテルに戻った私たちは、最後の沖縄の夜を満喫すべく街にでた。にぎやかな国際通りをブラブラしていると、突然KEIKOの足が小さな民芸品店の前で止まった。 なけなしの貯金が消えることになって、その夜の食事は沖縄料理ならぬ普通のラーメンに変わったが、KEIKOの目は充実感で満たされていた。 |