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<出産> 「コン!コン!」
「担当の竹内といいます。奥様の症状ですが、ちょっと心配な状況ですので緊急入院の処置をとらせていただきました。」
彼の冷静さと自信に満ちた語り口は、有無を言わせない威厳さへ持っていた。 「どうしよう・・・」 そんなやり取りをしているところへ、急を聞いた叔母夫婦が駆けつけてきた。 病院の外はすでに陽が西に傾き、燃えるような夕焼けが広がっていた。 |
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入院中のKEIKOは意外に元気そうだった。退屈しのぎにと広い病院内を歩き回り、気がついた看護婦が車椅子を引きながら捜しまわっていた。
「だって、何もすること無いんだもん!」 「ねえ、手を握って・・・」 KEIKOは私の手を握ったまましばらく黙って聞いていたが、やがて軽いいびきをかいて眠り始めた。私が掛布団を肩まで上げようとすると小さく寝返りを打った。その拍子に瞼に溜っていたのか、涙がひとすじ流れて落ちていった。 |