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<出産> 結婚式を無事に終えた私たちは、大阪に戻るとまたいつもの生活のリズムに戻っていた。6月に入り季節はすっかり夏模様だった。梅雨というには雨の少ない日が続いていた。 KEIKOは、向かいの奥さんに誘われて近くの工場にパートで働き出していた。私を見送ると近所の数人の主婦たちと楽しそうに出勤していた。平凡だが落ち着いた日々だった。 そんなある日、彼女が子供が欲しいと言い出した。工場の同僚たちの育児話や近所の子供の様子を眺めては、私にせがむことが多くなった。私もその気になっていた。ふたりの間に家族という意識が育ちつつあった。 だが、そんな二人の思いとは裏腹に、なかなか妊娠の兆候は現れなかった。なんとなく寂しそうなKEIKOの表情が気になってはいたが、こればかりはどうにもならなかった。 そんなある夜、私が帰宅するといつもと違う表情でKEIKOが出迎えた。 夕食のをする間もKEIKOの歓び様は並ではなかった。いまにもベビーベッドなどを買い揃えに出かけそうな勢いだった。楽しげな彼女の相手をしながら、私は正直ホッとした気持ちだった。 |
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そんな二人の歓びもつかの間だった。病院に行ったKEIKOからの返事は、単に生理が遅れていただけというあっけない結果だった。
「大丈夫だよ。そのうちきっと・・・」
「今度の休日、どこか出かけようか・・・?」
「早速車の手配をしなきゃ!電話、電話!それにガイドブックも!」 |