
![]() |
草葺きのバリの王家を模したというウブドの宿の客室は、それぞれが独立したヴィラになっていて、南国らしい草花に囲まれたテラスにはジャグジーやあずま屋風の休息の場も備わって、長期滞在の欧米人の家族がゆっくり出来る雰囲気に満ちている。テラスの先は深い谷になっており、向こう岸のココナッツの森が秘境ムードを盛り上げる。 落ちたら痛そうな高いベッド。床面から掘り下げたスタイルのバスタブや、外庭に面 したシャワーなどにはちょっと戸惑いも。しかし、バーを備えたプール。派手さを抑えた民芸色ゆたかな内装と備品のセンスの良さはさすがに国際級。こまめに手が入れられた遊歩道を巡り、辺りに咲き競う花々を見ていると、もういちど誰かとゆっくり来てみたい・・・そんな気にさせるから見事だ。 ![]() |
| バリ島といえばその独特のリズムと衣装のバリ舞踊が有名だが、ひとくちでは言い尽くせない程の多種多様の踊りがあるらしい。優美なガムランのリズムにのせて、きらびやかな衣装の乙女達の舞いが始まる。日本の昔ばなしにもありそうな神々の伝説の物語が、猿や鳥の化身達の軽妙なしぐさと語りで表現される。その不思議な立ち振る舞いと華麗な装束の見事さに、解説書を読むのも忘れて見入ってしまう。こまやかな手足の動きとしなやかな身のこなし。一点を見つめるような眼差しでひたむきに舞い踊る少女達の健気さと、濃密なガムランの旋律にしばし心を奪われていた。 |
![]() |
||
![]() |
|||

![]() |
ウブドの街は、最近の観光ブームに乗ってインターナショナルな雰囲気が漂う。ショートパンツの白人女性が長い足で闊歩すれば、日本の若い女性グループが声高に話ながらすれ違う。食堂の軒先には「うどん」と書かれた赤い提灯も目にするほどだ。英語や日本語があふれる街の表通 りを、集合の時間までそぞろ歩く。バロンダンスのチケット売りの少年が上手な日本語で話かけて来る。大きくなったら日本の大学に行きたいと言う彼の、澄んだ瞳が印象的だった。 街の散策に疲れ、手近なカフェテラスの片隅でコーラとココナッツケーキでひと息いれる。棒のような足をいたわるように伸ばし、通 りを行き交う人々の姿をうつろな目で追いながら、ひとつ大きなため息をつく。 |

| 三毛作ともいわれる稲田の苗はまだ小さく、青々としたライステラス(段々畑)の美しさは見られなかったものの、狭い谷の斜面 にひろがる壮大な景観は人の汗が作り出した見事な造形美。同じ稲作の日本に暮らす我々にはどこか懐かしい風景だ。辺りのココナッツの林がなければ故郷の田舎を彷佛とさせる。複雑な地形に沿って広がる棚田の水面 が、さまざまな形にはめ込まれた鏡が陽光を受けてキラキラと輝くようで美しい。そんな風景を切り取るようにカメラのシャッターの音が鳴り続ける。 高原の景勝地キンタマ−ニの絶景も、バリ島一という物売りの凄まじさに影が薄く、名高い寺院は観光客で身動きもままならず。行列のトイレの激臭ばかりが記憶に残り、なぜか懐かしい。 |
![]() |
平成9年9月、ジャカルタに滞在する友人を訪ねて、18名の仲間とともにインドネシアへ。首都ジャカルタでは、近代的な華やいだ表の顔と置き去りにされたような裏の顔も。発展途上のエネルギッシュな流れの中の厳しい現実も垣間見せた。一方、国際的な観光地として名高いバリ島。高級リゾートのいたれりつくせりのリッチなサービスも悪くはないが、郊外のゆった |
![]() |
りとした時の流れに合わせたような生活のリズムも、少々不衛生な環境を気にしなければ、トロっとした空気とともに心地良い。 暮らしの隅々に神を意識して生活する人々の、深い信仰心を理解することはとても無理だが、親しみやすい笑顔とパタパタとした印象の言葉などには馴染めそうだ。あらためてゆっくり訪ねてみたい島である。 |
| もくじ | 前ページへ |